フィギュアスケートで聴く サン=サーンス 「動物の謝肉祭より『白鳥』」
サン=サーンスの名曲(迷曲?)の一つといえば「動物の謝肉祭」。「カンガルー」「化石」「ピアニスト」(!?)など、ユニークなことこの上ない楽曲で構成された曲ですが、文字通り掃き溜め?の白鳥(??)、いや、鶴(???)のように、ひときわ異彩を放って美しいのが、この「白鳥」。オリジナルはピアノとチェロのソロだけで演奏される曲です。
バレエでは、この曲を用いた「瀕死の白鳥」の名演で知られ、20世紀最高のバレリーナの一人と言われる、マイヤ・プリセツカヤの代表的な演目としても知られています。
こんな美しい曲ですので、もちろんフィギュアスケートでも名演技が数多くあります。個人的に好きなプログラムを3つご紹介します♪ (敬称略)
オクサナ・バイウル 「白鳥」 1994年リレハンメルオリンピック Ex
バレエの「瀕死の白鳥」をそのまま氷上に持ってきたような美しい演技。手や腕の表情、首の繊細な動き、曲の世界の入り込んだ澄んだ目・・・。1994年、まだ自分がフィギュアスケート観戦にハマる前ではありましたが、当時受けた印象は今でもよく覚えています。SPの「黒鳥」と合わせ、リレハンメル五輪のフィギュアスケート競技のハイライトとなるような、素晴らしい作品でした。
振付がどなたなのかは残念ながら不明(ズミエフスカヤコーチ?それともヴィクトール・ペトレンコ?)
※youtubeのリンク先でご覧ください。
羽生結弦「Notte stellata」 2018年平昌オリンピック Ex
「白鳥」といえば外せない、羽生選手の白鳥。「Notte stellata」(星降る夜)と題された、男性ボーカルアレンジ版。かのロシアの重鎮、タラソワコーチからプレゼントされた曲だというエピソードも、ご存知の方が多いのではないかと思います(振付は、デイヴィッド・ウィルソン)。
かつて「タラソワ・マジック」と称された、タラソワチームの驚きと斬新さに満ちた素晴らしいプログラムは、新採点方式の複雑化により今では見られなくなってしまいましたが、流石の選曲です。
イェビン ・モク 「白鳥」 2003年世界ジュニア選手権SP
ジュニアで活躍した、アメリカのイェビン・モクさん。残念ながらシニアではあまり活躍できずに引退されてしまいましたが、このシーズンのショートプログラム「白鳥」(イリーナ・イェルチン振付)は、隠れ名プロだと思います。このシーズンの世界ジュニアでは、コストナー選手、安藤美姫さん、太田由希奈さんと、名だたるスケーターが競った中でも、このSPは本当に光っていました。
姉弟子のミシェル・クワンにも勝るとも劣らない美しいスケーティングとフリーレッグ。非の打ち所のないコンビネーションスピンに、美しいスパイラル。そして、プログラムを締める素敵なポジションのレイバックスピン。
大スケーターでなくとも、こんな素敵プロを見られることがあるのも、フィギュアスケート観戦の醍醐味ですね♪
ちなみに、「動物の謝肉祭」の自分の愛聴盤は、下記の小澤征爾盤。お若い頃の小澤征爾さん自ら「ピーターと狼」と「動物の謝肉祭」のナレーションをしていらっしゃるという、なかなか稀有な版です。チェロのソリストがどなたなのかはわかりませんが、素敵な演奏です。
プロコフィエフ:ピーターと狼/サン=サーンス:動物の謝肉祭/ブリテン:青少年のための管弦楽入門(日本独自企画盤)
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