ひびなこと

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フィギュアスケートで聴く リヒャルト・シュトラウス

 リヒャルト・シュトラウス Richard Strauss (1864〜1949)は、wikiの記述を借りれば「ドイツの後期ロマン派を代表する作曲家のひとり。」

 個人的には「モーツァルトの再来」「クラシック最後の大作曲家」くらいに思っています。が、他の大作曲家のみなさんと比べて取り上げられることが少ないのは、

・85年の生涯、という大作曲家には珍しく長寿であったことから、晩年は「時代遅れの作曲家」というレッテルを貼られてしまっていたこと(いやしかし、当時彼より「新しい」とされた音楽の数々が、現代の人々に記憶されているかというと・・以下自粛)

・彼が生前尽力した「著作権」の確立が、彼の死後は逆に、作品の演奏機会を減らすという残念な作用をもたらしていた

 と、いくつかの悪条件が重なってしまったことによるかもしれません。

(※念のため書いておきますが、ヨハン・シュトラウスに代表される、ワルツで有名なシュトラウス一族とは血縁関係は無いそうです。) 

 幸い、日本国内での著作権は1999年に完全消失(東京地裁で裁判にまでなったらしいですが)。また、IMSLPで著作権フリーの譜面が提供され始まったことなどにより、近年、プロアマ共に、彼の作品が演奏される機会が以前よりも増えたように思います。

 そんな背景もあってか、フィギュアスケートでもこれまでそれほどには頻繁には使用されてきませんでしたが、それでも彼の作品を使用した名プログラムがいくつか存在します。以下に3つをご紹介。

 

カザコワ・ドミトリエフ組「ツァラトゥストラはかく語りき
1998年長野オリンピック SP

 クラシックに馴染みのない方でも「ああ、聞いたことがある」というこの印象的な旋律(っていうか『2001年宇宙の旅』)。
 この壮大な曲想を生かしたSPも、なかなか斬新なプログラムだと思います。ダイナミックなリフトや、二人が寸分違わぬほど正確シンクロするソロスピンに注目。

 振付師は残念ながら不明ですが、モスクヴィナコーチとドミトリエフさんの共作でしょうか?(根拠はありませんm(_ _)m )

(※Youtubeのリンク先でご覧ください)

 

ミシェル・クワンサロメ」 1996年世界選手権 FP

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  もう、今更ここで語る必要も無いくらいの、言わずと知れたローリー・ニコル振付の傑作。前シーズンまで爽やかな少女だったクワンは大人の表現者へと豹変。フィギュアスケートにおける振付の重要性と「振付師」という立場を確固たるものにした、フィギュアスケートの歴史を変えたプログラムの一つでは無いかと思います。

 ただし、R.シュトラウス、という観点で見てみると、オペラ「サロメ」を使っているのは、実は中盤のスローパートから(上の映像の再生時間では2:13頃から)。序盤からスローパートに入るまでは「King Of Kings」という映画の中で、やはりサロメがダンスを踊るワンシーンの曲で、「Miklós Rózsa」という作曲家によるものです。

↓こちらがその映画の「サロメの踊り」のシーン

https://www.youtube.com/watch?v=b66NQbxGYV4&t=109s

 ただ、ここには、ミシェルのプログラムの冒頭の、弦楽器と木管楽器(テナーサックス?バスオーボエ?ヘッケルフォーン?)によるあのエロティックなメロディは出てきません。ですので、もう一つ、別の作曲家の作品から持ってきている可能性もあります。

 蛇足ですが、中盤にリヒャルトのサロメになった部分は、オーボエ族の中で一番大きな楽器「ヘッケルフォーン」と弦楽器とのソロ。このヘッケルフォーン、オーケストラでは、リヒャルトの作品くらいでしか使われていません。氷上にヘッケルフォーンの音が流れたのは、フィギュアスケート史上、多分このプログラムが初めてでは無いかと思われます^^;

 

ブランドン・ムロズティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
2009年世界選手権SP 

 四回転ルッツのパイオニアとして歴史に名を残したムロズさん。2008-2009年のSPは、まさかのティル!「のだめカンタービレ」でこの曲の存在を知ったという方も多いのでは。この本当に、飛んだり跳ねたりのいたずらっぽい曲を、氷上に持ってきたところは本当にすごい!振付は残念ながら不明です・・・

 

 音源のご紹介は、ティルとツァラトゥストラが1枚で楽しめる、アシュケナージ指揮のこちらで。リヒャルト・シュトラウスの世界を表現しくれるスケーターがもっと増えるといいなぁ・・・。